かんぽ生命不正から見る旧住友銀行の亡霊

 かんぽ生命の不正がマスコミを賑わして久しいが、結局誰も何の責任も取らず、現場の郵便局員のみが懲戒対象となっただけである。最近、日本郵政長門社長(興銀→みすほコープ)はじめ日本郵便の横山社長(住友→三井住友)、かんぽ生命の植平社長(東京海上)のトップ三人の経営責任問題が浮上しているとい記事をみた。事実上人事権を握っているのは首相官邸で、郵政族議員の思い通りに動かない、という理由らしいが、そこに不正販売の反省の欠片も見えない。もっと笑える記事は、三井住友銀行がノルマの廃止を謳ったそうだ。「そんなバカな!!」

 そもそも「かんぽ生命不正」とは、顧客を騙して二重契約あるいは無保険状態を生じさせ、ひた走りに「ノルマ」達成に上位下達方式でひた走ったことである。すなわち、①徹底したノルマ主義、②表裏なす飴と鞭(手当の格差→給料の格差)、③脱法行為の指南(局長、部長級が知らない筈がない)、④利益至上主義、顧客目線の放棄などが指摘できる。

 小生も銀行員として30年過ごした経験からものを言わせてもらうと、これは正しく住友銀行方式そのもののやり方である。若手営業マンとして住友とはライバルであったが、そのやり方あくどさ、それでいて資金の引き上げの速さ、朝駆け夜討ちの24時間営業体制で、当時これをセブンイレブン方式と言っていたが、当時の上司から「住友を見習え」と言われたものだ。

 郵政民営化の時の初代に西川氏という住友イムズの権化を選任したことが大きなつまずきの元だが、その彼が、自らのイムズに迎合する旧部下を郵政に引っ張んて来て、今の日本郵政の経営イムズを作っていったのである。したがって、このかんぽ不正は当然の結果なのであって、その本家本元の三井住友が「ノルマ主義廃止」と今頃叫んでいるのは笑止に堪えない。