安倍内閣の「不気味な」安定的な支持率

 各種のメディアが11月の世論調査で、安倍内閣の支持率が下がったと報じている。「支持する」が1~2%下落し、「支持しない」が5~7%増加したと報じ、その要因を推測している。

 しかし、よく見ると、大臣の不祥事による辞任が相次ぎ、大学入学共通テストの民間英語試験の導入延期、「桜を見る会」問題など支持率急落の要因があるものの、支持率は、朝日新聞が44%、NHKが47%、読売新聞が49%とそれぞれ下がっているものの、「不気味な」ほど「ほぼ一貫して50%前後を維持」しているのである。

 最大の要因は、世論調査でも明らかなとおり、「ほかに期待できる人や政党が居ないしない」ことである。確かに自民党内で安倍首相に代わる有力な政治家がいない。麻生財務大臣、二階幹事長のあの「上から目線」の不遜な態度、さりとて硬派の石破氏の人気のなさ、若手有望の小泉環境大臣の最近の行動・言動など。さらには各派閥の長の政治家の名前も浮かばないほどの人材不足かたみてその通りのようだ。

 また自民党にとって代わりうる野党も皆無で、民主党政権の混乱と崩壊の記憶が鮮明で、民主党から分派した野党各党の党首自体も民主党政権で要職を担った人材とあっては、支持率が集まらないのは当然である。にもかかわらず、今更ながら立憲民主党と国民民主党の野合を模索しているのは笑止と言う外はない。

 したがって、安倍内閣の安定的な支持率は、積極的評価ではないことを安倍首相自体が認識すべきである。ところが最近の首相の表情を垣間見ると、戦後最高の長期政権をバックにした政治家のもっとも「いやらしい」顔つきになっている。記者会見での質問をそらす表情、上から目線の自信、都合の悪いことには文書破棄で逃げる(公文書たるものが2か月で元データも含めて破棄することなどはあり得ない(小生の町会でも必ず来季のためにすべて残している)。また、麻生、二階を筆頭に何をしても問題ないという不遜な態度は目に余る。

 こうはいっても反省しないのは眼に見えているが、新しい時代に即応した新たな政治家像(これは決して若い、ということではない)を国民1人1人が考える時期に来ているのかもしれない。