女性天皇に関する一考察

(2)江戸時代の女性天皇
   ① 109代明正天皇(在位1,629年~1643年、1311か月、後継継承:譲位)
   ・ 後水尾天皇の皇女で、即位時はわずか7歳であった。
   ・ これは、後水尾天皇紫衣事件で幕府に対して激怒し、幕府に全く通告
    しないで当時7歳の興子内親王に譲位したことによるものである。
   ・ 治世中は、後水尾上皇による院政が敷かれて、実権を持つことなく、全く
    人形そのものであったとのことである。
   ・ 生涯独身。
 
  ② 117代後桜町天皇(在位1762年~1770年、84か月、後継継承:譲位)
  ・ 桜町天皇の皇女で、桃園天皇の異母姉である。
  ・ 桃園天皇22歳の若さで崩御したため、皇子の英仁親王(後の後桃園
   天皇が5歳と幼かったことから、中継ぎとして即位したもので、奈良時代
   の女性天皇の擁立の理由と異ならない。
  ・ 生涯独身。
 
6、女性天皇の総括
 
過去の女性天皇は、上記のとおり、8人10代が数えられる。そのうち大化の改新前後から律令制の確立及び崩壊に至る、いわゆる天皇専制君主として君臨した時代(600年から770年位まで)の6人8代江戸時代2人が数えられるが、その即位の背景は良く似通っている。また、全員が独身(寡婦か未婚)で即位し、譲位以後も独身を通したのが共通している。
 
まず、女性による天皇即位の背景については、男系男子天皇と男系男子天皇の間を「つなぐ」ために存在した、とするのが歴史的事実であろう。
すなわち現在に置き換えるならば、2継承順位の悠仁親王が成人になられるまでの間に女性天皇が現れることになり、それも過去の歴史からすると「男系女性天皇であるから、愛子内親王がその候補者の筆頭になり(とマスコミは報じている)、秋篠宮家の眞子内親王佳子内親王も該当することになり、現在の緊急の問題はとりあえず解決されることになる。
なお、過去の女性天皇をみると、すべて男系祖先(父が天皇6人、祖父が天皇1人、曾祖父が天皇1人)であり、即位の前の地位は、皇后が3人、皇太子妃1人、内親王4人となることを付言しておく。
 
※ マスコミ報道は愛子内親王があたかも女性天皇の第一承継者のように報じるが、それは天皇の実子という
 だけで、継承順位は特に決められていない。過去の女性天皇でも皇嗣(皇太子)の子、天皇を祖父にもつ
 内親王即位していることから、実際に即位するときの各内親王の状況(婚姻状況等)によるだろう!!
 
もちろん、皇室典範という法律改正は必要になるが、皇位継承者は男系(男子)に限る」(2文字抹消)とすれば済むことで、今回の譲位のように特別法でも済ますことができるので、それほど問題がない。
 
問題は女性天皇が、従来の歴史にある通り、「つなぎ的」意義だけのための存在しか許されないのかどうか、である。男女同権・男女平等という観点からは、当然それも許される、ということになる筈だが、そう簡単ではない。
1つは宮中儀礼の問題である。
これはすべて天皇家の私的行事であるが、皇室神道として各儀式が伝統的に定まっており、女性が主催あるいは参列できない儀式も多く、実際に過去の女性天皇のときには、その儀式は中断されていた事実がある。
これをどのように解決するのかは、1000年以上続く伝統儀式と現代的感覚の戦いで、容易に解決されるとは考えられない。
 
もう1つは、美智子皇太后から始まる民間人の皇室入りにより、皇室自体が普通の一般家庭にできるだけ近づくような教育をされてきたことである。
それはまことに結構なことであるが、そのような環境で育てられた結果、戦後民主主義の洗礼を見事に受け、個人の自由、個人の尊厳の自由、言論の自由表現の自由等々、を皇室自体が主張されるようになった。
問題は、その主張と天皇制の誕生の背景、連綿として続く天皇制の実態、それに対する国民(あるいは民衆)の思い等、それぞれに齟齬ができてきたことである。

確かにプライベートな生活もあるだろう。
好きな人と結婚したい気持ちもあるだろう。
だが一方では、広大な敷地に住まいし、常時皇宮警察が警護し、成人になれば公的行事に参列し、各団体の名誉職にもいくつも就任するのは、何故だろうか、と考えてほしい。皇室に生まれた限りは100%「自由人」ではないのである。
この考えに至らない限り、女性天皇の出現は、たとえ皇統が危機に瀕していたとしても、時期尚早と言わざるを得ない、と考える。
 
もう1つの女系天皇の話になると、もっと複雑怪奇で簡単には済まない。それは、「一般人が天皇になる」という話に近いからである。とても小生の能力の限界を超えているので、読者各自の研究にお任せしたい。
 
最近、秋篠宮家への批判記事が急増しているように感じる。その一方で、雅子皇后、愛子内親王に対する「優しい」記事が増加してるのは何故だろう。
リーク元は宮内庁しかないのだろうが、よくよく考えると、同じ官庁とはいっても、財務省経産省等とどのように違うのだろう! 宮内庁職員はやはり国家公務員上級試験に合格した人なのか、天皇系の祭祀を司るのはどのような神主なのだろう、との疑問がわき、霧の中に包まれている官庁が宮内庁かもしれない。“皇室ジャーナリスト”なるもののコメントを聞くにつけ、結構、怖い組織なのかもしれない。
1度、徹底して表ざたにしてはどうだろうか?
 
 
以上