8月20日配信「阿波踊り、人出過去最低 対立の背景は」を読んで

 「事件ジャーナリスト」(?)と称する戸田一法氏のレポートだが、従来から「ジャーナリスト」と称する人物の「胡散臭さ」は指摘していたが、本レポートもご多分に漏れず、「お粗末」という一言に尽きる。
 
 まず、「阿波踊り」のルーツから説き起こし、「連」の紹介やら掛け声の披露、「阿波踊り会館」の案内、そして、阿波踊り当日の事実の羅列に終始していた。
 肝心の、なぜこのような分裂の運営になったのか、については全く言及しておらず、表面的な「累積赤字 → 破産申立」の話にその原因を持って行くだけである。
 そして、一番お粗末に感じたのは、政治的問題も含まれている、といいながら、知らないのか、あるいは誰かに忖度しているのか不明だが、全くお茶を濁していることである。
 
 まさしく「利権」がからみ、「選挙」が絡む典型的な政治問題になっているに拘わらず、である。
 「事件」ジャーナリストとは何をする人なのだろう、と疑問を持つと同時に、経済誌としてそれなりに一翼を担うダイヤモンド社が、よくこんなレポートを掲載したのか、逆に感心頻りである。
 
 この問題への切り込み口は色々考えられる
 1つは、累積赤字の問題で、「昨年6月、観光協会の累積赤字が発覚した」というが、観光協会は「公益法人」であり、その主管は「内閣府」である。税金で優遇を受ける関係から内閣府の監視があるはずで、毎年の収支内容は監査している筈でなければならない。もし、それを怠っていたとするならば、まず内閣府を非難するべきである。
 また、この阿波踊りは、協会と市長の後ろ盾の徳島新聞社との共催だったのだから、この祭りの収支関係は、徳島新聞社が当然知っていた筈だと推測される。なのに何故、今発覚したように見せかけるのか、の切口である。

 次は、徳島市と金融機関と観光協会との間で、損失補てんに関する契約があったらしい。かつその補償限度額が6億円で、徳島市がびっくりしたとある。あり得ない話である。契約当事者の片方が全く知らない契約など無い、と断言できる。
 さらに問題なのは、紛争当事者の一方である徳島市が、地方自治法に基づくとはいえ、第三者委員会(この言葉のまやかしについては以前言及した。この名前さえ使えば「公平・公正」と思わせる道具に使われている)の弁護士を選んでは、片手落ちもいいとこだろう。
 さらに、その結果、会計規約に反する処理が数々発見されたというが、観光協会公認会計士あるいは税理士はどうしたの? 彼らの名誉の問題でもあるのに、彼らが黙っているのはどうしてなの?

 「事件」ジャーナリストには無理な注文だが、天下のダイヤモンド社としては、同じ話題を取り上げるにしても、そのくらいの深掘りしたレポートは掲載する義務があるのではないか?と考えるが、如何なものか!