アゴラ8月18日配信「銀行員はどう生きるか」城繁幸氏を読んで

 同氏はそのブログで、浪川攻氏の「銀行員はどう生きるか」の本に感心し、その要旨を開陳し、大いに賛同している。ここで敢えて取り上げたのは、小生が言っていたメガバンクの今後の方向と一致しているからである。
 
 すなわち、行き場がなくなった銀行は、店舗の減少と人員のリストラを一斉に始めたが、それで生き残れる訳ではない。欧米の銀行の方向(デジタル店舗等)も善いが、それで成功するかは悲観的である。結局は、本質が対面ビジネスの銀行業は、最大の武器である顔が見える営業で質の高いサービスを提供してこそが銀行の価値であり、顧客とのリレーションシップという銀行最大の武器をもたないままコスト削減に走るのは如何なものか? と言っている。
 
 本来的には、浪川氏の単行本を買って読むべきなのであるが、あえて買わないのは、どうせ(失礼!)小生が主張したいメガバンクのトップないし経営陣の資質、仕振りには突っ込んでいないことが予想されるからで、それでは根本的な解決にはならないからである。というのも、浪川氏も、その経歴が、経済雑誌各社の記者を経たジャーナリストに過ぎないからである。
 
 「小粒化」している現在のトップ及び経営陣が替わらなければ、銀行員自らが転職するにせよ、出向させられるにせよ、銀行員自身が生き残れる途はさほどない。その道も、成功するとは限らない所以に、銀行員の受難の時代は当分続くのだろう。