ちょっと待った!シリーズー四つんばい襷渡し


ちょっと待った!シリーズ - プリンセス駅伝
四つん這いタスキ渡しの賛否両論の喧騒
-一体選手は誰のために走るのか?-

 <実況中継>
  テレビのチャネルを回した途端、衝撃的な画像が目に飛び込んだ。
  最初は、「何じゃ!これ」だった。右手にタスキを握ったまま、道路を四つん這いで這っている選手がいる。
  「あっ!そうか。足を怪我して走れなくなったため、這ってでも襷を繋ごうとしているんだ」と納得した。ただ、中継所まで300m以上。
「これはとても無理。途中棄権だな!」と思ったが、この姿は、他の面を挟むも映像で流し続けられた。
「あれ!まだ這っている。何故、誰か止めないんだ!可哀想じゃないか!」
ところが、ところが、また画面が切り替わって、先頭を走っていた選手が、道路の右・左にブレだして、揚句は、折り返し地点をうまく折り返せなくて、再度、ふらふらになりながらやり直す、という画面が目に飛び込んだ。明らかに脱水症状
「これは早く止めないと「脳」に影響するぞ」と、画面に映る、その選手の付近にいる大会関係者の大声を上げていた。
相当な時間をテレビは移し続け、結局、誰も止めないまま、その選手が道路脇に意識なく倒れ込み棄権となった。


また、画面が「四つん這いの選手」に変わった。
えっ!まだ這っている。ちょっと!ちょっと!」と思ったら、中継所まで20mなっていた。


その時「凄い!」と素直に思い、知らず知らずに涙が出ていた
思わず「頑張れ!頑張れ!あと少しだ。もう先が見えてる!」と大声を出していた。
中継所に待つ同僚も涙を拭っている姿が映る。
来た、来た、中継所に這ってタスキを繋いだ。理屈無く感動した。


<賛否両論>
気持ちよく翌朝を迎える。
案の定、朝の情報番組はじめ各メディアが取り上げ、賛否両論が渦巻いた。
実業団陸上連合会長が「選手の安全が第一。チーム側との連絡方法を見直す」と発言。大会の責任者としては当然。棄権するかどうかは監督の最終判断しかないだろう。その判断がすぐに現場に伝わるように工夫するのは、運営する側の義務である。


ただし、脱水症状の場合はすぐに止めないと危険。医者を待機させ、医者の判断が最終となろう。これを大会関係者の審判(叔父さん)に求めるのは酷。


当該監督は「チームの申し出が通らず、大会側が止める権限を持つならそれでもいいが、責任を持ってくれ」発言は、気持ちは分かるが言い過。「監督の意思をすぐに選手に伝わるように」と言うべきだ。自己弁護に聞こえる
同様の話が、72回の箱根駅伝山梨学院大学の選手の途中棄権について、「何故。早く止めなかったのか?」と論争を呼んだが、監督自体はすぐに止めようとしたが、選手自体の続行意志が固く、中々止められなかった、と述懐していたのを忘れたようだ。


なぜ、選手の「続行意志」が固いのか?
ここで自分が棄権をしてしまっては、襷を繋いできた前の選手やこの後、襷を引継いでいく選手たちのことを考え、絶対に棄権するとは言わないのである。
選手生命、選手の健康から言えば、この選手の気持ちは無視すべきかもしれないが、選手本人の「心の傷」を見過ごしことは許されるのだろうか?


<部外者の無責任な批判>
以上のような、微妙な問題を含んでいるこの問題に関して、賢しらな意見や批判をいう「部外者」は許さない!反吐がでそうである


曰く、

    -選手生命を大切に! 個人の選手生命を犠牲にするのは古い!

    -スポーツ選手の身体を考えるのが第一!
    -すぐに棄権にしてあげてよ!
    -素晴らしいって!これ美談なの?
    -タレントのフィフィのブログ「「根性あるとか美談で評価するの
     は今後の彼女のためにも他の選手のためにも良くない」
    -スポーツ評論家玉木氏「後少しだったから続けさせたと審判が
     言っているが越権行為」


 「美談」とは言わないが、素直に「感動した」のは事実であり、涙を流したのは、「情」をもつ人間として当然ではないのか。それがなくなれば、もはや人間ではない。


  この問題は、大会運営者、チーム監督、大会関係者に任せ、臨機応変な対応をする体制を早急に構築することを期待する。