ちょっと待った!シリーズースルガ銀行

「ちょっと待った!」シリーズ
スルガ銀行行政処分及び再発防止策批判まとめ-
 
 以下は、スルガ銀行のHP上でした声明文に対するここ数回のブログを纏めたものである。
1、金融庁行政処分の内容
  6か月の投資不動産融資の業務停止をはじめ、研修、健全な業務運営確保を指示しているが、業務停止処分以外は基本的には「当たり前」のこと。その中で、投資用不動産融資の金利引下げ、返済条件の見直しを指示しているが、官営企業ではないスルガ銀行に対して越権のような気がする。
笑えるのは、持続可能なビジネスモデルの構築も指示しているが、かっての金融庁長官が、このスルガ銀行を、新たなビジネスモデルを構築した優秀な銀行と称賛していたのを忘れたようだ。
  ただ、この業務停止処分は、利益的にはそれほどの影響はない。それは、銀行とは「フロー商売」ではなく、休日でも金利が取れる「ストック商売」で、残高的には返済分の残高は減るとしても痛手ではない。
2、行政処分の理由
  理由の(6)当局に対する実体と異なる報告(何を意味するかは不明)以外は、金融庁が立入検査をしたオリジナルではなく、第三者委員会の調査報告書の「写し」である。なぜそうなったかというと、まず「処分ありき」で、その理由は、後から「付け足した」に過ぎないからである。
3、当社(スルガ銀行)が現状把握している現状
  一見すると「ビックリする」内容だが、分母の「総件数あるいは総額」が分からないと正当な評価はできない。銀行としてはそれも併せて発表すべきである。
4、再発防止策
  この防止策を通覧すると、一言でいえば「他人任せ」の印象が拭えない。取締役会の3分の2、同じく監査役会5人中3名が社外の人間。さらに新たに設置し、指名委員会及び報酬委員会の権限を持つ「企業文化・ガバナンス委員会」の構成員も過半数が社外の人間さらにさらに、旧来の取締役の法的責任の追及、また関与した従業員の処分まで、すべてが社外弁護士に頼っている。どこに企業としての「求心力」さらには「アイデンティティー」を求めればいいのか? 「主体性」は何処に行ったのか?という感じの防止策である。「第三者」に任せておけば「公正・公平」が担保されると錯覚しているようだ。
5、「ちょっと待った!」箇所とは?
  以上の「どうしようもない再発防止策」の中でも、してはいけない「行員の処分」がある。何故「してはいけないのか」?
  1つは、処罰する行員の「線引き」が非常に微妙であるにも拘わらず、これを社外弁護士に、任せっきりになることである。権力にすり寄っていた行員と、冷や飯を喰わされていた行員との「報復的たれ込み」が横行し、収拾がつかなくなる可能性が大きい。
  さらに今1つは、処分を下す経営者の問題である。新たな役員も当時は傍観していた行員であり、見方によっては最も「悪質な」行員であった。すなわち「処分を下す資格があるのか」ということである。それも内容は、社外の弁護士に依頼したもので、自らの逃げ道を作った上での処分を下そうとしている相変わらず「ずるい」人物と思われても仕方がない。どのような組織、体制を作っても、現経営陣に対して求心力が無ければ全く機能しないのは自明の理である。
  思うに、社会生活の成立ちは、良くも悪くも「人間の情」が絡まって成立している。三者は、その成立ちを知らないから「人間の情」を捨象して判断する。それが「公正・公平」だと思っている。しかしそれは、中味のない綺麗な「箱」を作ったに過ぎない。表面上は整えても、実体的な不公平は根深く残るのである。
  旧行員の誰かが「自ら泥を被る」勇気を出して、自ら積極的に係っていく必要があるのだが、果たしてそのような人物が登場するのだろうか?