偕老同穴・比翼連理

子供が、アルツハイマーの母親を殺害、近々は、川崎の有料老人ホームで介護士が3人の老人を殺していました。

7年前の機関紙に、以下のような記事を載せていました。


最近、涙する記事を読みました。皆さんにも享有していただきたくご紹介いたします。

 記事の題名は「偕老同穴・比翼連理」

 この言葉は、よく結婚式の祝辞の中に出てくる言葉です。

 辞書を引きますと、偕老同穴とは、「詩経」の邶風・撃鼓の「偕老」と、同じく「詩経」王風・大車の「洞穴」を続けて言ったもので、生きてはともに老い、死んでは同じ墓に葬られるという意味で、夫婦が仲むつまじく、契りの固いことをいうそうです。

 一方、比翼連理とは唐の白楽天がその「長恨歌」で「天に在りては比翼の鳥となり、地に在りては連理の枝とならん」と玄宗皇帝と楊貴妃の悲恋を謳ったので有名ですが、比翼とは、雌雄それぞれ一目一翼のため常に並んで一体となって飛ぶといわれる鳥であり、連理とは2本の木でありながら、枝が連なって1本となり、木目も相通じていると言う木をいうのだそうです。


  この記事は、俳優の長門浩之さん(74歳)と南田洋子さん(75歳)の「老老介護」のお話です。以下はその抜粋を掲載します。


 
「通常は、私が洋子を湯船に入れたり、風呂場で身体や頭を洗うのを手伝っています。顔を洗う時に「石鹸がついた手を顔へ」と教えても、必ず頭にあててしまうので、目の前で自分の顔を洗って見せます。背中を流す時には「お背中を、ながしましげお~」なんて駄洒落を言うことがあります。彼女は笑います。2人分を洗うために入浴は2時間もかかります」


「お手伝いさんには毎夜泊まっていただいていますが、私も1時間半おきに起きて、洋子の部屋を覗くようにしています。寝ぼけて足がもつれひっくり返ったこともあります。洋子に「しっかりして」と励まされたことも(笑)。でも、行かないわけにはいかない。私が来るのを期待しているとき、洋子は布団をはいで起きる体勢で待っているのです」


「泊り仕事があるときは辛いですよ。心配で仕事先から電話をかけても、洋子は「大丈夫」というだけ。つい現状を聞き出そうと質問してしまうのですが、彼女は言葉を見つけることができません


辛い時の救いは、洋子のこびない可愛さです。彼女のしぐさに、胸がときめくこともあります。たとえば、「チュー」というと、頬にキスをしてくれるのです。言葉をうまく見つけられなくなった洋子に「ばか」と言われて、「ばかといったら、チュー(キス)をする」と迫ったことがあるんです。それを喜んでくれて、以来洋子は「チュー」というと反応してくれるようになりました。この行動には「ワンバカチュー」と名付けました(笑)」


「夜中に私の部屋で、ぼんやりテレビを見ながら塩せんべいをポリポリかじるのも、私のそばにいたいからだと伝わってきます。病気も含め、昔とは違うけれど、理屈を言わなくなった洋子がいとおしい。夫婦で寄り添う幸せを感じるようになりました」


「だけど今は、介護する充足感で活性化していて、自分は死なないような気もします。来年からは後期高齢者に属する歳ですが、気弱な自分を洋子に見せたくないと思うから、最近重い病気にかからなくなりました」


「今まで、女性問題やお金のことで苦労をかけたとき、優しく手を差し伸べて、肩を抱きしめてくれた洋子の優しさを私は忘れないでしょう。洋子が記憶を失っても、です。洋子を介護できることには幸せを感じています。洋子のために一生懸命に生きたいと言う思いが、今の私の元気の源かもしれませんね」


  まさしく「偕老同穴」「比翼連理」ですね。なぜか涙がでてきます。私達夫婦もそれを目指していかなければ-----。」

 現実は、このようなきれいごとでは済まないのかもしれませんね!自分にできるかと自らに問うてみても、自信はないようです。