舛添知事に関する政治家とは?

舛添東京都知事に関する一考察(その1)
 
1、彼に対する評価は、世間総ブーイングで、今更評価するつもりもない。しかし、昨今の政治家の資質は確実に低下していることは確かであろう。
  そこで、日本の政治を考えるにあたり、「政治家とは何ぞや?」の命題に挑戦してみようと思う。
 
2、7年前(2009年7月)、民主党政権が誕生した。世間の圧倒的な支持を受け(絶対安定多数308議席―戦後最多、比例区の得票も29844799票―過去最高)、「今度こそ何かが変わる」という期待感に包まれていた。9年前に発行していた「機関紙」に、次のような小論を載せている。
 
 「今回の政権交代の功罪
終戦後63年が経過して、自由民主党から民主党に政権が移行した。
それ以来1年近くが経過して、7月の参議院選挙を控え、民主党が単独絶対多数の政権樹立ができるか騒がれている。
そこで、この政権交代の善悪の判断はとにかくとして、政治に対する一考察を試みる。
 
     まず、今回の政権交代で良かったことを挙げてみよう。
① 政治家が表舞台に立ってきて、マスコミを賑わす時間が多くなり、テレビの露出度が極めて高まって
いる。
② 結果として政治家の仕事が国民に身近になってきており(理解しているのとは違う)、官僚ではなく
政治家が国を動かしているなという実感が、国民11人に出てきていると感じる。
③ 公約(マニュフェスト)を一応重んじて、それの実現(善悪の判断は別)に向けて動いているのが実感
として分るようになってきた。
従来(自民党時代)は、「公約とは、握手と一緒で選挙のときだけ、終われば一切忘れるもの」と思われ、国民もその公約の履行を求める意欲に欠けていたことを考えれば隔世の感がある。
「マニュフェスト」という言葉が実質味を帯びてきたことは素晴らしいことと思われる。
高校授業料無料化(この資金は福祉に回すべきでは?)、高速道路無料化(渋滞も考えないバラマキでは?)、不必要なダム建設の即刻中止(20年間の経過を無視しても良いのですか?)など、公約通り、とにかく
実施するという政治の姿勢は高く評価すべきであろう。
 
     ただし、反面
① 議席獲りに走るあまり、さまざまな人材が寄り集まってきた感がある。
② そもそも、政治家とは一定の経験(議員経験)を積み重ね、その上に自己の政治信条を作り上げて実力
を磨きあげるもので、素人にはとてもできない職業と思っていた。ところが、寄り集まった人材を見る
につけ「誰でもできる職業」と思われ、政治家に対する見方が軽くなっているようにみえる。
この件は、のちの「今の政治家群像」で考えてみたい。
③ 政権を握るための連立であるが、これほど方向の違う組み合わせで政権維持ができるのか。それぞれが
言いたい放題で首相・総理のリーダーシップに疑問がもたれている所以である。」
 
  そして、この小論の最後に、以下のように締めくくっている
時代の閉塞感の中での「変化」に対する渇望が、国民の中にあるときに実現するものと
 一般的に言える。

ただし、日本の歴史の中で、遠くは壬申の乱から最近の明治維新、あるいは太平洋戦争も「政権交代」といえば政権交代といえるが、国民の世論の盛り上がりでの国民あるいは大衆が自らの意思で「政権交代」を実現させたと言えるのは、本件の政権交代ではないだろうか。」

 
3、これほど期待を持たせた民主党政権の3年間は、現在では「無駄の3年間」「空白の3年間」と言われるようになっている。
  覚えているだけでの失政を挙げると
  ① 「事業仕訳」なるもので、科学技術振興費用は無駄だ、として
    これを大幅に削減。
      -科学技術に力を入れることは、日本の国際競争力を維持向上
       するだけではなく、国際的な取り組みに貢献する重要な意味

       を全く理解できなかった。

  ② 口蹄病の流行時にその殺処分の指示が遅れ、損失は2000億円を
    超えた。
      -この時、赤松農水大臣は、外遊を切り上げず、かつ帰国後も
       この問題に対処せず、同党候補者の応援に行っている。何か
       現在の舛添知事にあまりにも酷似している。(震災翌日に

       中国服を買うよりましか)

  ③ 尖閣列島中国漁船衝突事件での対応、あっさりと船長を釈放し、

    日本防衛の意識が極めて低いことを露呈した。

  ④ 最大は東日本大地震での管首相をはじめとした政府の対応(震災
    翌日の視察という政治的パフォーマンスは別として)のお粗末さ。

    特に震災翌日に水素爆発が起こり、放射能漏れの危険を国民に周知

    させることを怠ったことは、国民に対する裏切り行為ともいえる。
さらに、事業仕訳と称するパフォーマンスで、災害対策予備費、学校
耐震化予算、地震再保険特別会計などを「埋蔵金」と称して削減、

廃止したことも付け加える必要があろう。

  ⑤ 現在の世界一の借金国となる一翼を担っていること(おそらく民主
    党は、世間に迎合するべくまさしくバラマキ政策で、財政再建

    全く頭にない「ど素人集団」であったのだろう)

(参考)赤字国債発行額推移
     <自民党政権
      2007年  27.5兆円 ←安倍政権
      2008年  25.4兆円 ←福田政権
      2009年  33.2兆円 ←麻生政権
     <民主党政権
      2010年  44.3兆円 ←鳩山政権
      2011年  44.3兆円 ←管政権
      2012年  44.6兆円 ←野田政権
 
4、このような政情を受けて、安倍政権が誕生し、自民党が政権復帰を果たした。

  しかし、ここで一言言っておく必要があるのは、民主党政権誕生時の「何かが変わる」という期待感ではなく、民主党政権に任せておけないという反作用であり、国民は一様にほっとした安堵感ではなかっただろうか。ただし、民主党政権を選んだ国民は、この選択が果たして正しいのか、また

失敗するのではないだろうかという不安感を抱いていることも事実である。

現在までの安倍政権の政治運営は、以下のとおり、民主党政権時代に比べて安心感があると評価する

 ① 憲法改正集団的自衛権等賛否はあるものの、政権運営の立ち位置
   が明確であること
 ② 積極的な外交を行っていること
 ③ アベノミクスという景気浮揚策を図り、税収向上を図っていること
 ④ オバマ大統領の広島訪問にみられるように、米国関係が良好。一方

   で対中、対韓も毅然とした態度をとっていること

しかし残念ながら、前回安倍首相が退陣に追い込まれたスキャンダルに見舞われていることが懸念材料といえ、完全な不安感を払拭しえていない。

 -舛添都知事の件は、安倍政権にとって降ってわいたような災難で
  あったといえるが、都知事候補を自ら育てないで、人気に便乗した

  付けともいえ、責任は免れないー

 
5、次回は、過去からの政治家群像と私見を舛添知事を念頭に置きながら、述べていきたい。