スルガ銀行不正事件最終段

 今回の事件の内幕は、ほぼ小生が推測したとおりであるが、1つだけ「個々の行員には責任がない」と言っていたのが、若干、怪しくなってきた。
 小生の理論は、今回の事件の根幹は、創業者一族の強い意向の下、それを忖度した上層役員と、睨まれるのを恐れ、銀行の常識を意見具申できなかった上層部にあり、ただ単に命令を受けた個々の行員には責任がない、という論理であった。
 ところが、個々の行員も十分にそのことは認識しており、自らもそれに乗ることが仕合せになると確信していれば、話は別だ。
 実際に、スルガ銀行の行員給与は、当然のことながら地銀最高で、メガバンクの三菱UFJみずほ銀行の平均給与も上回っているそうだ。その資金の源泉は、高利回りの融資残高の急激な増加による利益に他ならないのである。
 このことが、個々の行員の認識と直接つながるかどうかは疑問であるが、少し頭の働く行員ならばわかっていたはずである。
 
 とすれば、上層部だけの問題でないかもしれない、と考えた次第である。
 といっても、この雰囲気を醸成していったのは、創業者一族であることに変わりはないが!

 付言しておくと、今の金融庁長官は、このスルガ銀行の経営姿勢を褒めたらしいが、さて、検査の結果発表の時に、この言葉をどのようにつくろうのか、見ものである。(この長官は大蔵省OBであるが、過去の役所との折衝において経験したことから、役人は財務諸表の見方が全く分かっていなくて、すべてを現金出納帳(収支表)方式で判断することから、この長官もそうだったのかな、との感慨あり)