東大出て、メガバンク3か月で辞めた理由を読んで

 上記のような「とんでもない」記事を読んだ。この記事は朝日新聞経済部記者が取材して書いたものであるが、その理由とするのは、
 ① 定められたルールを忠実に回していくこと
 ② 電子化されるであろう紙での仕事の多さ
 ③ 辞令1つでどこかに行かなくてはいけない転勤
であり、この経済部記者は、現代の若者が抱く「日本型雇用慣行」への違和感が見える、と結論付けている。

 ともんでもない勘違いでとしか言えない。
 まず、①については、「お金」を商品とするだけに、銀行は「手続き」をガッチリと固めており、人によって違う扱いをして「間違いました」では済まない業種だからである。銀行員となるんであれば、これを徹底的に身に着けるのは当たり前である。
 次に②については、1部分かるところもあるが、紙に落とすことにより理解することもあるのは事実である。効率一辺倒では身につかないような気がする。
(私が現役のころは、取引先1社ごとの申請書ファイルー勿論手書きーが過去5年か支店の金庫の中に保管されており、昔の案件の担当者の意見などを参考にしたーこれより古いものは書庫センターに10年分程度保管されていた)
 さらに③については、理由になっていない気がする。総合職として入行した時点で、メガバンクに全国支店に移動は了解済みのはずである。しかるに地方に行く辞令を受けたことで辞職とは情けない。
(私も最初の赴任先は銀座支店であって同期に勝ったと思ったが、なんらそれは今後の銀行員人生と関係がなかったし、かえって地方転勤の同期は、第2の故郷ができてうらやましかったのを覚えている)

 そもそもこの若者は、メガバンクを受けること自体が間違った選択である。なぜならその動機が、「お金を稼ぐことに関わる知識とスキルを身に着ける」ためであるとする。そして銀行に3か月勤めて「銀行の先輩が持っているスキルを身に着けたとしても、自分の人生に役立つとは思えないし、そのスキルは銀行の外でも使えるものがそれ程ない」という。
 そのスキルは自分の金稼ぎ手段ではなく、銀行以外に使う目的ではないのです。そのスキルを駆使することにより、お金の流通の遠隔化と、ひいては日本経済の発展に寄与するためなのです。勘違いしてはいけません。

 東大での若者といっても所詮この程度の話なのです。日大の宮川選手の方がよっぽど立派です。
 それに加えて一流新聞社のそれも経済部の記者の洞察力の低さにもあきれ返ります。本若者の取材が、「日本型雇用慣行」の問題とは全く関係のない、1人の若者のわがままであることを見抜いてください。もっとしっかりしていただきたい。