日本沈没ー日本の閉塞感・無力感(その5の続きのつづき)

  今回は、改めて金融機能についてお浚いし、現代的意義を再検討するとともに、金融業

 界の過去の合従連衡を俯瞰し、その混迷度合いを検証しよう。

 
  1、まず、主な機能としては、①金融仲介機能、②信用創造機能、③決済機能の3つが
   ある。金融仲介機能とは、家計や企業から預金を集め、家計や企業、政府へ融資する
   という貸し手と借り手を仲介する機能をいう。又決済機能とは、現金を使わずに公共
   料金、クレジットの決済をすることをいう。難しいのは信用創造機能だが、預金され
   た一部の現金を融資に廻し、融資された企業はそれを支払いに充て、支払いを受けた
   企業はそれを又預金に回す、という風にこれを繰り返すことによって、結果として資
   金量が増えていくことをいう。例示で示すと以下のとおりである。

     銀行預金100円 → 90円企業A貸出 → 90円企業B支払 → 預金90
               10円預金残
 
     銀行預金90   → 81円企業C貸出 → 81円企業D支払 → 預金81
               9円預金残
 
     銀行預金81   → 72円企業E貸出 --------------------------------
               9円預金残
 
        上記の赤字の数字を足していくと1,000円になる。すなわち最初の預金がいつの間に
   か10倍に膨れ上がっていることである。
 
  2、これらの機能のうち、金融仲介機能と決済機能については、金融技術とインター
   ネットの発達により、金融機関以外の参入が活発であり、信用創造機能にしても、仮
   想通貨の出現により、現・預金を基本とする信用創造は必要がなくなっているように
   見える。
    しかしながら、銀行の「信用」をベースにする上記の機能は、インターネット事
   故、ハッカーの出現、仮想通貨の担い手の危うさ等々、このまま、一方的にその機能
   がとってかわられるとは到底思わない。
    「命」の次に大切な「お金」を、相手の顔も知らない、いつの間にか現金がなく
   なっている、国が保障する日本銀行発行の通貨が、実体のない単位に置き換えられる
   「不安」に人間が耐えられる筈がないのである。
    すなわち、銀行等金融機関が積み重ねてきた「信用」にとってかわられる「モノ」
   は無いのである。だからこそ余計に、銀行等金融機関は、決してその信用を損なうよ
   うな仕振りをしてはならないのである。銀行等経営陣は勿論、11人の銀行員も然り
   である。
 
3、昭和50年(1975年)の都市銀行を中心に、金融機関の合従連衡を以下にまとめてみた。
 
1975
19902000
現在
第一勧業※1
 
富士
1971年 第1と日本勧業
 →日本最初の大型合併
 
みずほ(20024
 +日本興業
(なお、長期銀行のうち、日本長期→新生
           日債銀→あおぞら)
三井
太陽神戸※2
住友
太陽神戸三井→さくら
1973年 神戸と太陽
 →2番目の大型合併
三井住友(20014
 
 
埼玉
協和
大和
協和埼玉→あさひ
 (1991年)
 
りそな(20033
 
 
東京
三菱
三和
東海
東京三菱
 (1996年)
 
 
 
 
UFJ(20021)
 
東京三菱UFJ(20061)
    →三菱UFJ
 
 
北海道拓殖
破綻(1997
 
 
    以上を都市銀行の数だけの変遷を見ると、
      1973年13行 → 1990年12行 → 1991年11行 → 1996年10行
      1998年 9行 → 2001年 8行 → 2002年 6行 → 2003年 5行
        2006年 4行 →現在に至る。
 
    1971