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ちょっと待った!シリーズースルガ銀行

「ちょっと待った!」シリーズ -スルガ銀行行政処分及び再発防止策批判まとめ- 以下は、スルガ銀行のHP上でした声明文に対するここ数回のブログを纏めたものである。 1、金融庁の行政処分の内容 6か月の投資不動産融資の業務停止をはじめ、研修、健全な…

ちょっと待った!再発防止策再考を!-スルガ銀行大研究(3)追加

さて問題の再発防止策の1つ「行員の処分」について、小生は、前回で「してはいけ ない」と警告した。 理由は、まず、処分を受ける行員の問題である。 不正に関与した行員、認識はしていたが何も言わなかった、あるいは見て見ぬふりをした行員、全く知らなか…

ちょっと待った!再発防止策再考を!-スルガ銀行大研究追加(3)

スルガ銀行は最後に、再発防止策8項目を掲げ、11月末までに、実効性ある改善計画を提出するとしている。 (1)ガバナンス体制刷新の機構改革 取締役会6名中社外取締役4名、取締役会議長も社外取締役、また5名の監査役のうち3名が社外監査役、と経営に対す…

ちょっと待った!再発防止策再考を!-スルガ銀行大研究追加(2)

2、行政処分の理由 以下が金融庁の処分理由だが、(6)を除いて、金融庁のオリジナルの理由はなく、すべて第三者委員会報告書の理由を引用したに過ぎない。特に(7)は、報告書のそのままの「写し」のようだ。立入検査してこの内容。? (1)投資用不動…

ちょっと待った!再発防止策再考を!-スルガ銀行大研究追加(1)

スルガ銀行が金融庁から行政処分を受けた。それを受けて同行は、そのHP上に「当社に対する行政処分について」を掲載し、謝罪と今後の方針について発表した。以下、その内容を紹介するとともに、その内容を吟味する(青字が吟味)。 1、行政処分の内容 (…

頑張れ!スルガ銀行ースルガ銀行大研究まとめ

世間を騒がせたスルガ銀行不正融資事件に関して、今も経済誌等で騒がれ、10月10日付けダイヤモンドでは「スルガ銀行に退場の道を用意せよ」という記事まで出た。 本当に「どうしようもなく」退場しなければならないのか? 楽天証券の元証券マンの見方は正し…

スルガ銀行大研究(7)

6、するが銀行の現状を「どう」捉えればいいのか? (1)貸倒引当金問題の見方 ・ 以上、財務的にスルガ銀行を見てきたが、おそらくスマートデイズ(2018年4月、民事再生法を申請したが棄却され破産、負債総額60億円)他、不動産担保付ローン向け債権に対…

スルガ銀行大研究(6)続き

④ 結果としての「利ザヤ」の水準 (単位;億円、%) 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 2018/3 貸出金収入 利回り 資金調達費用 調達利回り 897 3.26 30 0.09 1,001 3.48 34 0.09 1,060 3.52 40 0.10 1,210 3.72 43 0.10 1,254 3.86 37 0.08 利ザヤ 3.17 3.39 3.…

スルガ銀行大研究(6)続き

(2)収益構造 ① 経常収益に占める貸出金利息収入の高さ 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 2018/3 経常収益 貸出金利息収入 寄与率(%) 1,112 897 80.7 1,213 1,001 82.5 1,311 1,060 80.9 1,458 1,210 82.9 1,563 1,254 80.2 (単位;億円) 上表のとおり、収益の…

スルガ銀行大研究(6)

5、財務から見たスルガ銀行(過去5年間の比較から) (1)収益率の高さ (単位億円) 経常収益 経常利益 同率(%) 当期利益 同率(%) 2014/3 2015/3 2016/3 2017/3 2018/3 1,112 1,213 1,311 1,458 1,563 362 461 534 582 (※) 309 32.6 38.0 40.7 39.…

スルガ銀行大研究の続き

3、関係者の法的責任・経営責任の有無 (1)岡野会長について ① 個別の不正、ローンリスクを具体的に知り、又は知りえた 証拠はない ② 本件問題発覚後の諸行動に善管注意義務違反がある。 ・法的違反は認められないが、その諸要因について故岡野副社長と同…

スルガ銀行大研究(5)

4、スルガ銀行第三者委員会報告書について <要約版の要約とその批判> 以下、青字は小生の批判部分になる。 1、発生した問題 (1)収益不動産ローンに係る損失計上 2018年6月期までに、収益不動産ローン全般に関して、717億円 【推計】の貸倒引当金を計…

続き

(5)家系図 岡野喜太郎(1864年生) ―― 関本たい 【初代頭取】 豪夫(1890年生)(長男) 弥(次男) 文弥(三男) 他妹4人 【2代目頭取】 元市議会議長等歴任 ―――妻・乾みね 喜一郎(1917年生)(長男) 喜久麿(1925年生)(次男) 他妹2人 【3代目頭取】 【4代目頭取…

スルガ銀行大研究(4)

3、概要と岡野一族相関図 (1)銀行概要 ・ 本店 静岡県沼津市 ・ 資本金 300億4300円 ・ 純資産 2824億5000万円(単体) ・ 総資産 4兆2720億9000万円(単体) ・ 従業員数 1577人 ・ 主要株主 エス・ジー・インベストメント…

スルガ銀行大研究(3)

2、スルガ銀行不正事件関連の過去の小生のブログ ① 5月13日 行員個人を責めるな! 「このスキームが昔からあったもので、目新しいスキームではない。ただ昔が今と違うのは、当時は、担保の土地の値上がりが確実な時代で、融資回収が不能になっても当該土地…

スルガ銀行大研究(2)のつづき

⑥ ダイヤモンド9月19日配信「スルガ銀の業務停止は必至、他地銀の合従連衡も取り沙汰」 -まず第三者委員会の調査報告書を基にした記事を先行させ、その後の展開として、「増資」の行方、他の銀行との合従連衡のむずかしさを指摘。最後に金融庁の行政処分に…

スルガ銀行大研究(2)

1、最近のマスコミ等のスルガ銀行不正事件関連記事とその批判 ① 日刊ゲンダイ8月30日 「30億円を懐に---スルガ銀・岡野会長の悠々自適セレブライフ」 -不正融資問題で大揺れのスルガ銀行。30年以上トップに君臨してきた岡野光喜会長はケタはずれの…

スルガ銀行大研究(1)

スルガ銀行不正事件に関しては、小生が銀行員であったことも手伝い、このブログで度々採りあげてきたが、第三者委員会の調査報告書が公開されて、またぞろマスコミ等を賑わしている。 その時、不正事件発覚前の週刊誌記事を見つけた。マスコミの「いい加減さ…

「3大メガ銀行の経費率がジワジワ上がる背景」を読んで

経済誌の一翼を担う、(と小生が考えている)「プレジデント」誌もつまらない記事でお茶を濁している、という感想。 この記事は、プレジデント誌の3月19日号の特集「会社の数字、お金のカラクリ」の中から、「3メガバンクとフィンティック」について述べ…

「不動産投資は罠だらけ」ダイヤモンド9月3日配信

表題は、スルガ銀行の不正融資の対象と言われたスマートデイズの“かぼちゃの馬車”を題材にし、「罠」を紹介して、投資家はこの仕組みを知り、自己防衛を、と警鐘を鳴らしている。 しかしながら、紹介しているこの「罠」は、本当に「罠」なのだろうか?どうど…

「銀行の退職金プラン、4割の人が不満」ダイヤモンド8月31日配信

銀行の手数料稼ぎのために、投信を主体とした「退職金運用プラン」なる商品を、支店長自らがセールスし、うまく「騙されている」という内容である。そのカラクリを詳細に説明し、注意を促している。 銀行の名誉のためにいうが、騙すのではなく、リスクに対す…

アゴラ8月18日配信「銀行員はどう生きるか」城繁幸氏を読んで

同氏はそのブログで、浪川攻氏の「銀行員はどう生きるか」の本に感心し、その要旨を開陳し、大いに賛同している。ここで敢えて取り上げたのは、小生が言っていたメガバンクの今後の方向と一致しているからである。 すなわち、行き場がなくなった銀行は、店舗…

現代ビジネス8月15日配信「ソーシャルトレーディング業界の危機」を読んで

「フィンティック」「フィンティック」といってマスコミどころか政府すら持て囃している金融技術の進展が、従来から小生が論破している通り、また、「その限界」が露呈した事件が起こったようだ。 小生は全く知らなかったのだが、ソーシャル・トレーディング…

日本沈没ー日本の閉塞感・無力感(その5の最後)

本論稿が長くなり、筆者自身も「どの部分」を話しているのか混乱して いる。そこで、全体の流れを、自らの整理の意味を含めて通覧してみる。 現在の日本における閉塞感・無力感を「日本沈没」と捉えて、まず、 「政治」の世界を俯瞰した。そこには、安倍1強…

夕刊フジ「金融庁長官交代でも吹き止まぬ銀行業界の再編の嵐」津田倫男氏を読んで

8月7日配信の夕刊フジに、都市銀行、外資系銀行を経て、コンサルタントとして独立した津田氏の小論が掲載されていた。テレビで見る浅薄な評論家を見るようで、いたたまれなくこの1文を投稿する。 同氏は、金融庁長官が後退し、銀行幹部は金融庁の風圧が…

日本沈没ー日本の閉塞感・無力感(その5の続き)

前回(その5)で新人の1日を描いてみた。 本日は、2、東京郊外支店長の1日と、3、旗艦店舗支店長の1日と1週間を描い てみた。 2、東京郊外支店長の1日 42歳で最初の支店長を命じられた。場所は東京郊外で、比較的古くから東京の ベットタウンとして栄え…

日本沈没ー日本の閉塞感・無力感

前回(その4)では、経済界のうち一流製造メーカーの主にデータ改ざんを中心に経営者の小粒化を含め、その閉塞感・無力感を話したが、今回は、「金融」という物差しで考えてみたい。以下の要領で話す予定だが、小生の得意とする分野なので紙数が多くなる可…