「3大メガ銀行の経費率がジワジワ上がる背景」を読んで

 経済誌の一翼を担う、(と小生が考えている)「プレジデント」誌もつまらない記事でお茶を濁している、という感想。 この記事は、プレジデント誌の3月19日号の特集「会社の数字、お金のカラクリ」の中から、「3メガバンクとフィンティック」について述べてものらしい。
 
 何が「つまらないか」を指摘しておこう。
 1つ目は、3メガバンクのリストラ発表について、証券アナリストに「バブル期に入社した世代が退職の時期を迎え、新卒採用が横ばいでも自然減だけで約2割は減る」と言わして、発表の数字にカラクリがある、としている。
 そんなのは当たり前で、みずほ以外退職希望を募るとか転職を早めるなどとは言っていないのを見れば分かることで、「カラクリ」でも何でもない。
 
 2つめは、業務粗利益-営業経費=業務純益が減少しているのはマイナス金利の影響であるが、看過できないのは、業務粗利益に占める営業経費の割合である経費率の上昇傾向である、とする。
 あたかも計数から新しいものを発見したようにいうが、こんなのは当たり前で、偏に、日銀のマイナス金利導入による「利ザヤ」の減少に尽きる話である。なぜなら、営業経費が一定ならば、経費率も上がるのは当たり前だからである。
 
 3つめは、その経費率の上昇を食い止めるため、コスト削減の切り札として「フィンティック」を挙げていることである。経営コンサルタントに「AIで、独自の仮想通貨の開発や人手に頼ってきた窓口や融資の審査業務を導入するなど思い切ったことをしないと生き残れない」と語らせている。またわざわざ公認会計士を登場させて「フィンティック導入で固定費が下がれば、当然損益分岐点は改善する」と言わさせているのは笑ってしまう。そんなのは当たり前で、権威付のために登場させる必要は全くない。
 
 プレジデント等の経済誌に要望するのは、テレビメディアや新聞メディアと違って、騒がれている業界に対して、如何に「鋭い」切口で迫り、その改善策あるいは一定の方向性への「提言」ではないだろうか! もう少し勉強して、鋭い感覚を磨いてもらいたいものである。