「失われた20年を招いた決定的な弱点」東洋経済9月1日配信

 インターネット総合研究所所長の藤原氏の論稿だが、元々、ネット関係に弱い小生としては、示唆に富む内容で勉強になった。
 
 いわゆる、インターネットの本質は、「自律」「分散」「強調」で、自立した個々のノード(モデム、ハブ、ブリッジなど)が分散し、強調することを意味するそうです。また、通信ネットワークや放送ネットワークを飲み込んでしまうインターナットアーキテクチャの基本原理は、・1か所に障害が発生しても全体には及ばない、・コネクションレス(接続手順なし)、・END to END制御、・ユーザーが選択制御であり、これは組織の在り方や外部組織の在り方にも大きく関係する、という。
 
 ただし、「失われた20年」の原因が、インターネットに適合した制度改革を怠ったことにより、インターネットという技術革新の恩恵を受けられず、主要国の中で日本だけがGDPの減少を余儀なくされた、とする部分については賛同しがたい。
 
 20世紀以降の先進国で、20年もの長い間、名目値で年率1%以下の低成長が続いたことは、世界的に見ても珍しいといわれるが、筆者の言う要因のみではない、と考えるのが至当である。その間の政府の景気政策の失敗、日本銀行の急速な金融引き締めの失敗、消費税率の引き上げ等々、様々な要因が複合的に影響したものと考えるのが妥当なように思う。
 
 小生としては、これを抜け出せる具体的な腹案が無いだけに、さらなる「失われた30年」にならぬよう、政府、日銀等に奮起を願うしかない。