スルガ銀行大研究(2)のつづき

  ⑥ ダイヤモンド919日配信「スルガ銀の業務停止は必至、他地銀の合従連衡も取り沙汰」

-まず第三者委員会の調査報告書を基にした記事を先行させ、その後の展開として、「増資」の行方、他の銀行との合従連衡のむずかしさを指摘。最後金融庁行政処分に言及している。
  記者実名入りの記事にしては、寂しい限りの記事である。
 

  ⑦ 真壁法政大学教授919日論文「スルガ銀行、偽装第一主義の狂った経営様式---通常では考えられない組織、誕生の要因」

-通常では考えられない組織になっていることの元凶を、創業者一族の支配であると喝破している。そして、コンプライアンスの重要性を説く、と共コーポレートガバナンス企業統治)の必要性を強調している。
 書かれていることは一般論としては納得できるものの、では企業統治強化の策は、社外取締役の登用だけという。本当にそうなのだろうか?
 現在、多くの企業で社外取締役制度が流行しているが、その社外取締役が、企業経営者の行き過ぎた収益追求の心理を諌め、持続可能な形で成長を目指すように経営者に求めているのだろうか、本当に、経営者と独立した存在になっているのかという検証が必要だろう。
 今の社外取締役の選別は、第三者ではなく経営者自らが選別するもので、かつ報酬をその企業経営者からもらっていることを考えれば、その役割遂行に疑問符をつけざるを得ない。

 また、上司に真正面から異議を唱えるのはかなりの勇気がいると現実を見つめ、結局、「人間の弱さ」がスルガ銀行の不適切融資に繋がったと結論付け、経営者がこれを基に見直すべし、と主張されているが、要は、経営者自体の問題に最終的にはなっている。

  これでは創業者一族が100年も支配したスルガ銀行を特殊性を鑑みれば、とても他の企業が教訓とすることはできないであろう。

 
  ⑧ 朝日新聞920日配信「スルガ銀、創業一族が保有株売却へ、経営責任を問われ」
  -記者実名入りでの記事だが、これも朝日らしい中途半端な記事である。
   創業者一族が関係会社を通じて保有する同行株を売却する方針であることが20日に分かった、と言い、それは一族が会社から完全に身を引き、早期再建を進める狙いがある、と説明する。
   これは、一族の「売り逃げ」ではないのか?今後のスルガ銀行の行方は流動的であるが、最終的に株式がただの「紙」になる可能性があるのに、今売るとは何たる態度か、と叱るべきでは!
 
  ⑨ 朝日新聞920日配信「地銀の半数、2年以上連続で本業が赤字、金融庁試算」
  -ただ単なる金融庁発表の「金融リポート」からの抜粋。全国地銀の過半数が、「貸出収益」+「金融サービス手数料」だけでは半数以上の54行が赤字、うち52行が2年以上連続、約20行が5年以上の連続赤字。

   朝日記事は金融庁の「試算」と言っているが、金融庁は各地銀の有価

   証券報告書を握っているので、ただ集計しただけである。朝日新聞、誤解のないように!