スルガ銀行大研究(6)続き

 (2)収益構造
   ① 経常収益に占める貸出金利息収入の高さ
 
2014/3
2015/3
2016/3
2017/3
2018/3
経常収益
貸出金利息収入
寄与率(%)
 1,112
   897
  80.7
 1,213
 1,001
 82.5
 1,311
 1,060
 80.9
 1,458
 1,210
 82.9
 1,563
 1,254
 80.2
    
  
 
 
 

                                                       (単位;億円)

 
             上表のとおり、収益の殆どを貸出金で賄っている。本来の銀行は預金
    等で調達した資金を、資金需要がある取引先に貸し出して、そ利息
    息の差額を収益とするのが「本来の姿」といえる。その意味で、ス
    ルガ銀行は、最も従来の銀行に沿った形での財務内容と言える。
    ちなみに、みずほフィナンシャルGをみると、経常収益が6680
    円に対して貸出金利息収入が4,826億円と、何と7.9%しかないの
    である
    どちらが、本当に「銀行」と呼ばれるに相応しいか、と問いたくな
    る。
    この傾向は、20183期においても変わらない
 
   ② 貸出金利息の利回りの高さ

                                                          (単位;億円)

 
2014/3
2015/3
2016/3
2017/3
2018/3
貸出金残高
貸出金利
利回り(%)
 27,549

    897

   3.26
 28,787

  1,001

  3.48
 30,107

  1,060

  3.52
 32,537

  1,210

  3.72
 32,481

  1,254

  3.86
      
      参考に、みずほフィナンシャルGをみると、貸出金残高が506,144億円であるが、利息収入は何と4,826億円と、その利回りは0.95%でしかない。他のメガバンクも、みずほ程ではないが、0%台であることを考えると、如何にスルガ銀行が突出しているかが分かる。
      この傾向は、20183期においても変わらない。
 
      それでは、この利回りの高さの正体は? それは、この貸出金の中に占める個人ローンの割合が突出して大きいからに他ならない。
 
③ 貸出金に占める個人ローンの高さ

                                                        (単位;億円)

 
2014/3
2015/3
2016/3
2017/3
2018/3
貸出金残高
個人ローン
比率()
 27,549
 23,274
  84.5
 28,787
 26,005
  90.3
 30,107
 26,103
  86.7
 32,537
 28,323
  87.1
 32,481
 29,259
  90.1
 
   個人ローンの中の不動産担保ローンと無担保消費者ローンとの割合は不明であるが、件数は兎に角、不動産担保ローンの金額が圧倒的に大きいので、その大半は不動産担保ローンであると推測される。
   この構成比が、まさしくスルガ銀行を特徴づけるもので、高い収益の源泉と見られる。ある不動産業者の言として「自己資金1割の場合は金利4.5%、自己資金ゼロの場合は金利5.5%」と言っているが、それが本当ならば、確かに貸出金利回りが、平均4%近くになるのもうなづける。