頑張れ!スルガ銀行ースルガ銀行大研究まとめ

世間を騒がせたスルガ銀行不正融資事件に関して、今も経済誌等で騒がれ、1010日付けダイヤモンドでは「スルガ銀行に退場の道を用意せよ」という記事まで出た。
本当に「どうしようもなく」退場しなければならないのか? 楽天証券の元証券マンの見方は正しいのか? と考え、真正面からスルガ銀行を調査した。
この研究を小生のブログで、数回にわたり掲載したが、ここで、一挙に読めるように要約版を掲載する。詳細に興味のある方は、過去の小生のブログを参考に観てもらいたい。
 
内容一覧
1、不正発覚前の週刊誌記事紹介
2、不正発覚後の各メディアの記事紹介
3、過去の小生の意見の一貫性を、過去のブログで証明
4、スルガ銀行概要と岡野一族相関図
5、第三者委員会調査報告書批判
6、過去5年間の有価証券報告書から見たスルガ銀行の財務
 
1、「給料地銀トップ!スルガ銀行 『結果につなげる経営会議』はここが違う。地銀壊滅時代に5期連続最高益更新」週刊現代2017923日・30日合併号
  → 社外取締役経営コンサルタント慶應同期の評論家を登場させて、スルガ銀行をべた褒めし、今後も独特な経営で、業界の風雲児となり続ける、と断言している。敢えて批判はしないが、実は取材の記事内容そのものが、「ワンマン経営」の紹介に他ならないことを記者自身は気づいていないようである。
 
2、紹介記事
  ・ 日刊ゲンダイ30億円を懐に-スルガ銀岡野会長の悠々自適セレブライフ」
  ・ ダイヤモンド「スルガ銀行だけではない!地銀に潜む3つのリスクについて」
  ・ 郷原弁護士ブログ「スルガ銀行不正“ブリンカー社員化”の構図」
  ・ フライデー「スルガ銀岡野会長が所有する皇居のような大豪邸」
  ・ 弁護士ドットコム「スルガ銀業務停止命令も予想-元金融庁の弁護士の深読み」 
  ・ ダイヤモンド「スルガ銀の業務停止は必至、他地銀の合従連衡も取り沙汰」
  ・ 大学教授「スルガ銀行、偽装第一主義の狂った経営様式---通常では考えられない組織、誕生の要因」
  ・ 朝日新聞「スルガ銀、創業者一族が保有株売却へ、経営責任を問われ」
  ・ 朝日新聞「地銀の半数、2年以上連続で本業が赤字、金融庁試算」
 
3、小生の過去のブログ
  ・ 515日「行員個人を責めるな!」
    → 目新しいスキームではなく昔から存在。このスキームの要点は家賃保証する企業の体力の問題。預金残高の偽装は、このスキームにおいては関係無い。
  ・ 516日「多数の行員関与、組織ぐるみの不正は『嘘』」
    → 家賃保証する企業体力の審査が問題。なぜなら、家賃保証が永続的に続く限り、個人の返済に問題が無いからである。この問題は、社長、専務及び1部の本部役員の問題である。
  ・ 同日「やっぱり同族会社だった!」
    → 安倍1強のように、一族の会長は絶対者で、会長が「進め」と言ったら、全員が「忖度」を含め、突っ走る体制になっており、行内の雰囲気は容易に想像がつく。本件は創業者一族の問題である。
  ・ 同日「やっぱり社長は『お飾り』だった」
    → スルガ銀行の再生は、創業者一族の徹底的廃除に尽きる。
  ・ 517日「本当に個々の行員に罪はないのか?」
  ・ 526日「ダイヤモンドの日本型サブプライム問題に発展する懸念記事に反論」
    → この論評に対する徹底的批判
  ・ 616日、76日「経済ジャーナリスト、新聞記者に対する批判」
    → マスコミ等に登場する新聞記者出身者「いわゆるジャーナリスト」の底浅さを徹底批判
 
4、スルガ銀行の概要と岡野一族相関図は省略(10月Ⅰ日の小生のブログ参照)
 
5、第三者委員会調査報告書批判
  (1)発生した問題
     → 三者委員会のしたことは、行員間及び行員・業者のメールの確認、及び役員、行員のインタビューだけでの事実認定で、偽装行為別の件数及び金額、そのうちの延滞件数・金額、最後に顧客の被害額の想定等は一切ない。自らも「正確には不可能。しかし全般に偽装が蔓延」という言葉を結句としている。
  (2)発生した問題の要因
     → ”認識していたが権限がない“”取締役及び社外役員には、単年度の営業目標や中期経営計画も知らされていなかった“なんてことはありえない。役員等はインタビューを主として調査したらしいが、取締役等は自らの責任を逃れるために「知らない」「記憶にない」と繰り返し、弁護士たちはそれを「鵜呑み」にしたのだろう。政治の世界でも最近起こった事象と同じ。
  (3)関係者の法的責任・経営責任
     → あきれた認定。本件一連の問題を、張本人を既に亡くなった副社長、次に悪いのは、既に退職している元専務にし、会長はじめ現役には、善管注意義務違反はあるが、法的責任はない、としている。明らかに「死人に口なし」方式である。
 
6、有価証券報告書から見たスルガ銀行の財務状況
  (1)収益率の高さ
     → 貸倒引当金計上を除けば、毎年、最高収益更新。経常利益率、利ザヤ率をメガバンクと比較し、その優良性を証明。
  (2)収益構造
     → 高収益を誇る中味を分析。その要因として、① 経常収益に占める貸出金利息収入の高さ、② 貸出金利息の利回りの高さ、③ 貸出金に占める個人ローンの高さ、④ 結果としての「利ザヤ」の水準、を挙げる。
  (3)現状をどのように捉えるか(理解するか)
     ・ 貸倒引当金の見方
       → 貸倒引当金の財務的な意味合いを説明し、この引当金が毎年、巨額になっていくかが焦点。そこで、貸出金の大半が個人ローンである特色から相当な部分がカバーでき、収益状況から考えて深刻さは低い。
     ・ 独自の特色を活かしきれている地銀
       → 静岡銀行高知信用金庫を比較し、生き残り戦略を模索する地域金融機関の中では、新たなビジネスモデルを構築している数少ない銀行が、スルガ銀行と言える
7、今後のスルガ銀行に臨むべきこと
    → 三者委員会報告書のすべては正しいと思わないが、銀行内部は相当に「ガタついている」これを乗り切るには、相当のリーダーシップは必要で行内から昇格した社長では無理。銀行というものを知り、かつスルガ銀行の特色を「良し」と考える外部からの人材を求めざるを得ない。果たして、そのような人材が--------