ちょっと待った!再発防止策再考を!-スルガ銀行大研究追加(2)

2、行政処分の理由
   以下が金融庁の処分理由だが、(6)を除いて、金融庁のオリジナルの理由はなく、すべて第三者委員会報告書の理由を引用したに過ぎない。特に(7)は、報告書のそのままの「写し」のようだ。立入検査してこの内容。?

   (1)投資用不動産融資に関する不正行為

   (2)顧客の利益を害する業務運営
  (3)適正な信用リスク管理及び営業に対するけん制機能の欠如
  (4)ファミリー企業に対する不適切な融資
  (5)反社会的勢力との取引
  (6)当局に対する実体と異なる報告
  (7)「創業家一族が実質的に当行を支配する中で、審査体制の不備が認められる営業本位の組織を構築する一方、営業現場を放置したため、営業現場では、創業家の後ろ盾を得た特定の執行役員が、厳しいノルマ等で営業職員を圧迫した結果の不正行為を蔓延させる企業風土の醸成」
      「取締役会は、特定の役職員に営業方針や施策を任せきり、その内容や結果のほか、貸出ポートフォリオの構造すら把握していない」

  これが、問題発生の要因と言っている。

 
   以上が、金融庁の発表内容であるが、まず「処分ありき」で、処分理由は「後から付けた」としか思えない。それも第三者委員会の調査報告書を相当引用したものと推量される。相変わらずの官庁の「お粗末さ」である。
 
3、当社が現状把握している内容
 (1)投資用不動産融資に係る書類の改ざん関与
    → 最後の二重契約等を除いて、全体の分母の件数が分からないと、その深刻さが把握できない。
     ・ レントロールの改ざん      131件
         → 業者の改ざんを行員が認識していたかの問題。
     ・ 自己資金の改ざん      1,101件
         → 審査を通すため行員自ら不正に関与した可能性が大。
     ・ 収入の改ざん           89件
         → ここまでやると銀行とはいえない。ほんとうだろうか? その中1件でも抽出し、どのような事情か精査してみたい。
     ・ 二重契約等           225件
         → 業者の改ざんで、どの程度まで行員が認識していたかの問題。
 (2)抱合せ販売             534件
    → 昔は「歩積両建」と言われるもので、当たり前に金融機関で横行していた。だから銀行法が改正されたのだが、それほど深刻な問題ではない。
 (3)銀行代理業違反の不動産業者      88社
    → 銀行が説明すべきことを不動産業者にやらせていたらしいが、これをやったら銀行ではない。それも88社とは、何ぼなんでも多すぎる。ひょっとしたら、効率化のために「そうしろ」とマニュアル化されていたのではないか?
 (4)創業家ファミリー企業への融資総額   488億円
     うち創業家個人への転貸        69億円        
    → 創業家の一族経営ではありがちなこと。しかし、この解消は難しく、不良債権化する可能性が極めて高い。創業家一族との決別のためには必要経費かも知れない。

  さて、問題は、次の再発防止策である。どこにちょっと待ったをかけたかは次回お箸する。