ちょっと待った!再発防止策再考を!-スルガ銀行大研究追加(3)

スルガ銀行は最後に、再発防止策8項目を掲げ、11月末までに、実効性ある改善計画を提出するとしている。
 
(1)ガバナンス体制刷新の機構改革
   取締役会6名中社外取締役4名、取締役会議長も社外取締役、また5名の監査役のうち3名が社外監査役、と経営に対する監督・牽制機能を強化
   → まず、旧体制下においても、社外御取締役・社外監査役が存在したが、何の役割も果たしていない。
三者委員会は「個別の不正、ローンリスクを知り、又は知りえた証拠はない。本件構図についても、それを知りえ、かつそれを放置していたという事情はなく、法的責任はない」と、善管注意義務違反さえもないとしていた。ヒアリングして「知らなかった」と回答され、そのまま報告書に記載した構図。じゃあ、社外取締役監査役は報酬を貰いながら、何をしていたのか、と問いたくなる。それなのに、またまた、外部の人間に頼る構図になっており、これで監視・牽制機能が効くとは到底思えないが、如何なものか?
     要は、「取締役会、監査役会とも過半数以上の第三者である社外で構成したよ!だから公正だよ」と言いたいだけのような気がし、とても実効性ある策とは言えない。
社外の人間が3分の2を占める取締役会って、どんな仕事をするのだろうと、老婆心ながら思ってしまう。
(2)企業文化・ガバナンス改革委員会
   社外取締役及び社外監査役が構成員の過半数を占める「企業文化・ガバナンス委員会」を設置。この委員会を事実上の指名委員会及び報酬委員会としての機能を果たす。
   → 人事、報酬、果ては役職員のコンプライアンス関連、ビジネスモデルの構築まで「お任せ」のようだ。これも「社外が過半数だから公正でしょ」と言いたいのだろうが、これでは、スルガ銀行の行員にとって「他人の会社」になってしまう。企業で一番大切な「行員のモチベーション」をどのように考えているのだろうか、ちょっと耳を疑ってしまった。
(3)顧客対応室設置によるお客様支援
   「シェアーハウス等顧客対応室」を設置。
   → 当然の措置。
(4)経営陣の刷新と新組織体制
   有國氏を代取社長に選任。社外から佐々木氏(上席執行役員、業務改革担当)を招聘。社内から新たに7名の執行役員を選任。
   組織改革として、総合企画本部、コンプライアンス統括部、営業統括部を設置。
   → 有國氏は、当時取締役人事部長で、第三者委員会調査報告書では「善管注意義務違反はないが、人事部長として一定の責任がある」とされた人物である。人部部長として「何もしなかった」「見て見ぬふりをしていた」人物であり、小生から言わせれば「最も悪質な人物」だといえる。さらに社内から新たに7名の執行役員が就任したそうだが、恐らくその7名は、当時それなりの地位(部長クラス)にいた人物ではなかっただろうか。
そうすると、かっての部下たちは、「えっ、なんで!」と思う人物(何もしない、みて見ぬふりをした人物)もきっと混じっているだろう。それで果たして、人事の一新といえるのだろうか疑問なしとしない。
なお、佐々木氏の実力は不知だが、潰れた長期信用銀行の出身のようだ。しかも国際畑のようで、どのくらい手腕を発揮するのか静観したい。
 (5)法的責任の追及
    「取締役等責任調査委員会」の設置。役割は、善管注意義務違反等による損害賠償の是非を検討。又、監査役の責任についても同様。委員会の構成員は、社外監査役及び外部弁護士。
    → 第三者委員会とは別調査をするのかが不明。ただ、第三歳委員会調査報告書の「関係者の法的責任・経営責任の有無」どおりで、ただ単に「損害賠償責任があるかどうかのみ審議するのでは無意味。
「何もしなかった人物の責任」「見て見ぬふりをした人物の責任」を問おて初めて意味がある委員会となる。
 (6)関与した従業員及び監督責任者の処分
    外部弁護士チームにより、不正に関与した従業員及び監督責任者の処分。
    → これが最大の問題である。この処分を「してはいけない」のである。
      これについては、別稿を立てて論じることとする。
 (7)コンプライアンス研修
    定期的な研修の実施
    → 清々と進めるしかない。ただし、その成果は---------?
 (8)反社会的勢力との取引の解消
        警察や法律専門家との連携の下、口座解約等の取引解消、カードローンの取引解消を進める。
    → 時間をかけて慎重に! 取引経緯に創業者一族が絡むなど、中々一筋縄ではいかない。外部の人間ばかりに頼っていると足元をすくわれる可能性もあるのでご注意を!