高齢ドライバー事故に思う

1、小生に「高齢者講習通知書」なるものが投函されていた。
この高齢者講習とは、免許証の更新期間が満了する日における年齢が70歳以上が対象で、加齢に伴う身体機能の低下が自動車等の運転に影響を及ぼす可能性があるための特別講習を指すらしいが、中身は、双方向型講義(?)30分、運転適性検査器材による指導30分、実車による指導1時間の計2時間で、費用は5100とのこと。
 
2、確かに最近のマスコミ報道で、高齢者の運転による死亡事故が各地で頻繁に起き、免許の「自主返納」が一種のブームになっている。
さて我が身を振り返えると、“アクセルとブレーキの踏み間違いはないだろう”“急な心臓発作もないだろう”とは思うものの、高血圧で血が濃いと指摘され、前立腺がんの疑いがあると検査を受けている現状を鑑みれば、「自主返納もありうべし」かも知れない。
 
3、しかし、ここ最近、急に騒がれ、事故も連続して起こっているものの、高齢ゆえの慎重さや熟練度が高いことを考えれば、「本当にそんなに急増しているのか」とふと疑問を抱いたのである。
そこで、平成29年度の警察庁HPを調べてみた。
まず分かることは、死亡事故自体は大幅に減っており、80歳以上に限定すると、10年前の半分程度減っていることである。
オヤッ、話が違うじゃない!
これを、「年齢別免許者数10万人あたりの交通事故件数」(※)でみると、確かに80歳以上の死亡事故率が高く危険性が大きいのは分かるが、1619歳の運転手の死亡事故率の方が遥かに高いのである。次に高いのは、20代と70代の運転手がほぼ同じくらいの事故率で推移するが、その他の年代に比べて、70歳以上の高齢者運転の死亡事故率はそれほど高いとは言えないのである。
オイオイ、これも話が違うじゃない!
 
※「年齢別免許者数10万人当たりの交通事故件数」
 これは、その年代の免許者10万人当たり、どのくらい事故を起こしているかを調べていること
 から、より正確に「その年代の人がどのくらい事故を起こしやすいのか」を知ることができる
 
折角なので交通事故の全件数でみると、やはり20代や40代が多く、80歳以上が起こす死亡事故が少ないことが分かる。
全くマスコミは何を報道しているの!
 
4、このくらいの分析は、警察庁HPを観ればすぐわかることで、ご丁寧に警察庁は自ら「高齢運転者による死亡事故に係る分析」を行っているのである。
マスコミは、ただ風潮に乗るだけが「使命」(=視聴率を稼ぐこと)ではなく、正しい真実を伝えることが最も大切な使命と考えるが、今のマスコミはもっとひどく、間違った内容の報道を煽っているとしか見えない報道姿勢である、といえる。何とか改める姿勢を持って欲しいものである。
ダメだろうな! 改める姿勢があればまだ救いがあるが!!
 
5、したがって、小生の免許の「自主返納」は撤回することにし、特別講習を受け免許を更新する決意を固めた次第である。