世論、国民意思という怖さ

 話題渦中の韓国問題で、大統領はよく「国民意思」という言葉を使う。だから政治家の政治意志だけの合意は認められない、という論理である。では大統領はこの「国民意思」なるものをどうして把握しているのか? それはデモ・集会の動向、政治意志を持つテレビ局の報道、千人単位のアンケート結果等であろうが、それを「国民意思」というのだろうか?

 日本のマスコミも良く「世論」の動向は、という一言で報道している。そこにはテレビ局の何らかの意思が働いている、と言わざるを得ない。

 この「世論」であり「国民意思」という言葉ほど危ないものはない。それは口にする者の考え方に沿った形で何だって加工できるからである。例えば、街頭インタビューで何人もインタビューした結果、自分の考え方に沿った意見のみを放映し、アンケートも何人単位でその対象者はどのように選択したのかが明らかでないと全く信用できない代物である。にもかかわらず「アンケート結果」では、と宣う。また「ネットで炎上」という言葉も最近よく耳にする。個々の意見の発表の手段としては何ら意義はないものの、それを採り上げるマスコミが、いかにも「その通り」だといわんばかりに採り上げることが問題なのである。

 「みんなが言ってるから正しいのだ」の論法は、受けての方でよっぽど吟味する必要があろう!!!