日本沈没ー日本の中における「閉塞感」「無力感」まちめ⑦
② 金融機能の現代的意義
る。
金融仲介機能とは、家計や企業から預金を集め、家計や企業、政府へ融資するとい
う貸し手と借り手を仲介する機能をいう。又決済機能とは、現金を使わずに公共料
金、クレジットの決済をすることをいう。難しいのは信用創造機能だが、預金された
一部の現金を融資に廻し、融資された企業はそれを支払いに充て、支払いを受けた企
業はそれを又預金に回す、という風に、これを繰り返すことによって、結果として資
金量が増えていくことをいう。
例示で示すと以下のとおりである。
銀行預金100円 → 90円企業A貸出 → 90円企業B支払 → 預金90円
10円預金残
銀行預金90円 → 81円企業C貸出 → 81円企業D支払 → 預金81円
9円預金残
銀行預金81円 → 72円企業E貸出--------------------------------
9円預金残
上記の赤字の数字を足していくと1,000円になる。すなわち最初の預金がいつの間に
か、10倍に膨れ上がっていることをいう。言葉を変えると、現金が100円あれ
ば、銀行の信用創造機能によって、新たに現金紙幣の発行を待つまでもなく、
1000円になっていることをいうのである。
・これらの機能のうち、金融仲介機能と決済機能については、金融技術とインター
ネットの発達により、金融機関以外の参入が活発であり、信用創造機能にしても、
仮想通貨の出現により、現・預金を基本とする信用創造は必要がなくなっているよう
に見える。
しかしながら、銀行の「信用」をベースにする上記の機能は、「インターネット事
故」「ハッカーの出現」「仮想通貨の担い手の危うさ」等々、このまま、一方的に
その機能が他にとってかわられるとは到底思わない。
「命」の次に大切な「おカネ」を、「相手の顔も知らない」「いつの間にか現金が
なくなっている」「国が保障する日本銀行発行の通貨が、実体のない単位に置き換え
られる」という「不安」に人間が耐えられる筈がないのである。
すなわち、銀行等金融機関が積み重ねてきた「信用」にとってかわられる「モノ」は
無いと断言できる。だからこそ余計に、銀行等金融機関は、決してその信用を損なう
ような「仕振り」をしてはならないのであり、銀行等経営陣は勿論のこと、1人1人の
銀行員も肝に銘じておくべきである。である。